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2002年 4月号 Jazz Life誌 New York Report

New York Jazz Witness

NYでもっともクールなミュージシャン、DJロジック
によるジャンルを越えた異種格闘技セッション

 トライベッカのクラブ、ニッティング・ファクトリーは、開店15周年を迎え、2月中はスペシャル・プログラムを組んできた。ジャズ、オルタネイティヴと、マニア垂涎のライヴ・シリーズから、DJ ロジックを中心として、ジャム・バンドから、ジャズ・シーンまでのオール・スターによる、いろいろなコンビネーションのDJトリオ・セッションを、リポートしよう。
 
 87年の開店以来、ニッティング・ファクトリーは、NYのアンダー・グラウンド・ミュージックの牙城として、多くのムーヴメントを創り出している。90年代に入ってからは、ハウストン・ストリートのイースト・サイドから、現在のトライベッカの移転し、大規模なジャズ・フェスを主宰するなど、NYジャズ・シーンの台風の目としても活動してきた。アメリカの景気後退に加え、昨年のテロ事件では、世界貿易センターに近い立地から、しばしの閉店を余儀なくされたが、2月の特別企画では、その底力を見せてくれた。
 この日の、DJロジック・トリオ・セッションは、ロジックの幅広い人脈から、4つのトリオ・プラス・ゲストという構成であった。最初に登場したのは、近年ストレートアヘッド・ジャズ以外のフィールドでの、活躍も目立つクリスチャン・マックブライト(b)を中心としユニットで、やはりジャズをバックグラウンドとするカリーム・リギンス(ds)の2人の、シンプルなコードのアコースティック・ファンク・ビートの上で、ロジックのターンテーブルが、自在に跳躍する。新進ラッパーのスクラッチも加わり、ヴォイス・パーカションと、ディスク・スクラッチと、ドラムス&ベースの、リズム・アンサンブルで、まずはウォーミング・アップといったところだ。
 セッティング・チェンジの間、ロジックは自らリミックスした、オル・ダラ(vo,tp,etc.)の"ハーブ・マン"を、かける。ステージに上がった、チャーリー・ハンター(g)と、ビリー・マーチン(ds,per)が、ビートにシンクロしセカンド・セットが始まる。うねるグルーヴに、8弦ギターのカッティングによる、リズミックなコード・ワークが加わった。タンバリン、カウベル、トーキング・ドラムのパーカッションも、ヴァリエーションをつける。ジャム・バンド・シーンを代表する2人のグルーヴ・マスターが創るボトムの上で、ロジックが、シンセのようなニュアンスのターン・テーブル・ワークを聴かせ、トリオでありながら、キーボード、ギターのいる、エレクトリック・カルテットのサウンドとなった。
 セッティング・チェンジの間には、マイルス・ディヴィス(tp)の、70年代のリズム・ファンクの傑作"On the Corner"が、かかる。次のバンドを、暗示するような選曲だ。ジョン・メデスキ(kb)と、ジャム・バンドの象徴だったフィッシュのベーシスト、マイク・ゴードンを、フィチャーしたトリオだ。メデスキは、70年代マイルス・バンドの、キース・ジャレット(kb)を思わせる、パーカッシヴでナスティな、バッキングとソロをとる。ドラム・トラックはヴァイナルで演奏され、マイク・ゴードンが、重厚なリズムを刻み、オーガニック・グルーヴのリアリティを、注入する。キーボードと、ターン・テーブルのインタープレイ。ビートとグルーヴを、キーにしたサウンド・カオス。スポンテニアスに、進化を遂げる曲。このユニットが、70年代マイルス・ミュージックを信奉する、ロジックが指向する音楽を、もっとも体現しているように思われる。
 興奮醒めやらぬ間に、ブルー・グラス、カントリー、ジャズの要素を併せ持つグループ、ストリングス・チーズ・インシデントの、マイケル・カン(vln,g)と、元祖ジャム・バンド、グレイトフル・デッドの、ロブ・ワッサーマン(b)が、現れる。ワッサーマンのアップライト・エレクトリック・ベースは、より繊細なベース・ラインを弾く。カンは、メロディックに攻める時はヴァイオリン、リズミックな展開はギターと、楽器を使い分ける。ヴァイナルのビートとバッキングで、メロディックなフレーズの応酬が、繰り出された。
 ジョン・スコフィールド(g)は、ロジックを評して、DJを超越したインプロヴァイザー/ミュージシャンと、評している。このセッションでも、その音楽の懐の深さを証明したといえよう。DJロジックのアイディアには、ターン・テーブルの楽器としてのさらなる可能性が、秘められている。(2/7/02 於ニッティング・ファクトリー・メイン・スペース)

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