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2004年 04月号 Jazz Life誌 New York Report

New York Jazz Witness

マーカス・ミラー、ケニー・ギャレット、レニー・ホワイトら
が集結!ニューヨークで再演されたドレフュス・ナイト

 昨年秋、日本でもリリースされた「ドレフュス・ナイト・イン・パリ」は、ミッシェル・ペトルチアーニ(p)とマーカス・ミラー(el-b)との94年パリに於ける貴重なセッションの記録で、よくこのような音源が今まで残っていたと、驚かされた。同アルバムのアメリカ・リリースのプロモーションで、ピアノにジャン=ミッシェル・ピルクを起用しての店頭セッション、「ドレフュス・ナイト・イン・ニューヨーク」をお伝えしよう。
 
 セントラル・パークの西南端、コロンバス・サークルに今春オープンしたタイム・ワーナー・センターは、最新のショッピング・モール、オフィス、コンドミニアムの複合ビルディングであり、ジャズ・アット・リンカーン・センターの専用ホールも、このセンター内に今年の秋にオープンする。その中の、大型Book & CD ショップ、ボーダースに集結したのは、マーカス・ミラー(el-b)、ケニー・ギャレット(as)、レニー・ホワイト(ds)の、94年の「ドレフェス・ナイト・イン・パリ」に参加していた面々と、2004年ヴァージョンに新たに加わる、ドレフュス・レーベル期待のアーティスト、ジャン=ミッシェル・ピルク(p)だ。
 
 マーカスの店頭ライヴという企画に、口コミで多くのファンが集まった。スラッピング・ソロが始まり、ステージに注目が集まる。レニー・ホワイト(ds)が軽いタッチでビートをプッシュし、ジャン=ミッシェル・ピルク(p)が、メロディの断片をちりばめる。マーカスがリフを弾く。ピルクがユニゾンで応える。「フリーダム・ジャズ・ダンス」だ。ケニー・ギャレット(as)が、ゆったりとしたリズムのソロをとり、スムースで大きなうねりが流れ出す。ウェイン・ショーター(ts)のマジカルなメロディーの「フット・プリンツ」は、このメンバーの長所を引き出した。パリ・ヴァージョンの、ペトルチアーニ(p)は、正確無比なリズムと、一点の曇りもないピアノ・タッチで、マーカス&レニーの、ディープなグルーヴに対抗した。ニューヨーク・ヴァージョンのピルクは、ピアノ弦に指でミュートをかけて効果音的なアプローチをしたり、シングル・トーンで、抽象的なメロディの紡ぎながら、スケールの大きなコード・ソロへと展開させる。それを受けたギャレットが、音列をメロディアスに再構築し、リズム・コンシャスな、マーカスと、ホワイトのソロにつないでいた。まずは初顔合わせのピルクとの、軽い応酬といったところであろう。クラブではなく店頭なので、マーカスのギアもエフェクターとアンプが一つずつと、いつもよりずっとシンプルなセットだ。レニー・ホワイトも、ベーシックな3点セットに、ハイハット、ライド&クラッシュ・シンバルというジャズ・セッティングでプレイしている。
 MCで、マーカスが、80年代にいつもジャムっていたNYの55 グランド・バー(55 クリストファー・バーとは別のクラブ)の、思い出を語る。この日のようなシンプルなセットで、のちにファンク・ユニット、ジャマイカ・ボーイズを結成するレニー・ホワイトや、同じくクイーンズのジャマイカ地区出身のバーナード・ライト(kb,p)、店の上の階に住んでいたマイク&レニ・スターン(g)夫妻、今は亡きケニー・カークランド(kb,p)、そしてジャコ・パストリアス(el-b)といった、そうそうたるメンバーで、ジャズとファンクを交互にプレイしていたそうだ。
 この日、フィーチャーされた、ジャン=ミッシェル・ピルクは、1960年パリ生まれ。ヨーロッパのジャズ・シーンで頭角をあらわし、95年にニューヨークにやってきた。ハリー・ベラフォンテ(vo)のグループのディレクター兼ピアニストで高く評価され、ロイ・ヘインズ(ds)、リチャード・ボナ(el-b,vo)、サム・ニューサム(ss)らと共演。フランシス・モーティン(b)、アリ・ホーウィッグ(ds)とのトリオを中心に活躍している。ドレフュス・レーベルからは、2枚のアルバムをリリース、ソロ・ピアノをフィーチャーしたアルバムも近日リリースされる。
 マーカス・バンドのテーマ曲、「パンサー」が始まる。シンプル・セットのため、アンプラグト・セッションのようだ。マーカスとホワイトが、繊細なリズム・アプローチで、ピルクのソロをバック・アップする。ピアノ、ベースがオフになりギャレットと、ホワイトのインタープレイも、静かに燃える炎となる。マーカスが、バス・クラリネットを、手に取った。「キング・イズ・ゴーン」だ。エモーショナルなソロのあとの、フォー・ビートのウォーキング・ベースが、パリ・ヴァージョンと同様に緊張感を高め、サウンドがタイトにまとまる。ラスト・チューンは、「ツツ」で締められる、マーカス・メドレーだ。おなじみのセット・メニューだが、クラブで聴くマーカスとはちがった、80年代のジャム・セッションへ、タイム・スリップしたようなライヴだった。円熟と、フレッシュさを失わない感性、今年もマーカス・ミラーから目が離せない。(2/20/2004 於 Border's Books & Music, NYC)

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