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1998年  11月号 Jazz Life誌 New York Report

New York Jazz Witness

今も輝きを失わない“バード“に捧げられた
チャーリー・パーカー・ジャズ・フェスティヴァル

 1998年のNYジャズシーンにおける、最後の大規模な野外イヴェント、チャーリー・パーカー・ジャズ・フェスティヴァルが、イースト・ヴィレッジで開催された。今年で6回目を迎えるこのイヴェントは、チャーリー・パーカーのバースディである8月29日を記念して、毎年8月の最終日曜日に行われる。クリント・イーストウッド監督の映画「バード」にもロケ地として登場した、パーカーのアパートに近い公園、トンプキン・スクェア・パークの野外コンサートパークには、1000人以上の聴衆が集まり、パーカーの78回目の誕生日を祝った。

 毎年、パーカーとの共演歴や、大きな影響を受けたミュージシャンが出演し、オマージュを捧げるこのチャーリー・パーカー・ジャズ・フェスティヴァル。今年は、ジュリアス・ヘンフィルのサキソフォン・セクステット、レイ・バレット(per)・ザ・ニュー・ワールド・スピリット、スペシャル・ゲストにヴァイオリンのクロード・“フィドラー”・ウィリアムスを迎えた、エタ・ジョーンズ(vo)・グループ、アル・グレイ(tb)、サイラス・チェストナット(p)、ルー・ドナルドソン(as,vo)・クアルテットと、新旧多彩な顔ぶれがそろった。
 今年(98年)1月に他界したウォルター・ビショップJr.の追悼セレモニーで、フェスティヴァルは始まった。ビショップJr.は、パーカーと共演しスタンダード「スター・アイズ」のイントロの作曲者として知られるピアニスト。バリー・ハリス(p)によって執り行われたセレモニーは、ステージにケイコ・ビショップ夫人らを招き、95年の同フェスティヴァルにおいてビショップJr.が、パーカーに捧げた演奏のテープが披露された。
 続いて登場したのは、あると・サックス3本、テナー2本、バリトン1本という6管によるサックス・アンサンブルのジュリアス・ヘンフィル・セクステットだ。重厚なサウンドと、軽快なソロのコントラストが心地よい。
 野外コンサートを盛り上げるのは、やはりラテン・バンドだろう。パーカーの影響は、フレイズ、サウンドの両面でパキート・デリヴィラらラテン系サックス・プレイヤーに聴くことが出来るが、リズミック・アプローチにおいても大きな影響を及ぼしていることを再認識させてくれたのは、レイ・バレットのグループだ。彼のたたき出す強烈なグルーヴが、大観衆を挑発する。
 その興奮も醒めやらぬ間にステージに現れ、しっとりしたヴォイスで客席を鎮静化したのは、エタ・ジョーンズだ。この日70歳の誕生日を迎えたジョーンズは、90歳の伝説的ヴァイオリン・プレイヤー、クロード・“フィドラー“・ウィリアムスとのコラボレーションを聴かせてくれた。ヴォーカルに寄り添うヴァイオリンのオブリガードは、シンガー同士のデュオを聴くようである。

 ステージセットはがらりと変わって、40〜50年代のアフロ・アメリカン人権運動の先駆者であり、シンガーでもあったポール・ロブソンの生誕100年のと理ビューと・セレモニーが始まった。アル・グレイと、サイラス・チェストナットのエモーショナルで、ソウルフルなプレイは、トンプキンズ・スクェア・パークを厳粛な雰囲気で包み込む。
 いよいよ真打ち登場。パーカー直系のアルト・プレイヤー、ルー・ドナルドソンがステージに現れた。パーカー・スタンダード、十八番の「ウィスキー・ドリンキン・ウーマン」と、観衆を大いに盛り上げた。サイドを固めるピーター・バーンスタイン(g)は、端正なバップ・フレーズの中にモダンな響きを聴かせ、どこを切ってもファンク一色なドクター・ロニー・スミスのオルガンは、サウンドによりアーシーなニュアンスを付加している。アンコールには、レイ・バレットも加わり、ファンキー・パーカー・サウンドでフェスティヴァルのフィナーレを飾った。
 グレイト・イノヴェイターであったパーカーの創り出したサウンドは、ジャズのトラディショナルの中でも脈々と生き続け、輝きを失わないことをまざまざと体感させてくれたイヴェントであった。(8/30/98 於トンプキンズ・スクェア・パーク)

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