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2002年 6月号 Jazz Life誌 New York Report

New York Jazz Witness

エリック・リード、グレッグ・オズビー、ジェイムス・カーター
らによる“エリック・ドルフィー・トリビュート”イヴェント


 全米各地の大学でも、様々な文化、芸術に触れる機会を提供するために、多彩なイベントが企画されている。ジャズ・アルバム・カタログの中でも、カレッジでのライヴ盤が、多くあるのはこの理由からだ。コロンビア大学内のミラー・シアターでは、昨秋からエリック・リード(p)をホストに迎え、演奏とレクチャーを行ってきた。エリック・ドルフィー(as,fl,b-cl)にスポットをあてた、レクチャー&コンサートをリポートしたい。
 
 "ジャズ・コンポーザー・ポートレイツ"と、銘打たれたこのシリーズは、第3回を迎える。今シーズン最後のコンサートは、卓越した作曲家・革新者であるとともに、アルト・サックス、フルート、バス・クラリネットと、マルチ・インストゥルメンツ・プレイヤーとしても評価の高い、エリック・ドルフィーをテーマとして、締めくくった。
 ホスト、プロデューサーのエリック・リード(p)は、ドルフィーの3つの楽器に、それぞれ個性的なメンバーを揃えた。アルト・サックスには、ビ・バップ、フリー、ファンク、ヒップ・ホップと幅広い音楽性をもつ、グレッグ・オズビー。バス・クラリネットには、迫力の重低音から高音域まで、自在にこなすテクニシャン、ジェイムス・カーター。ニューオリンズで、エリス・マーサリス(p)の薫陶を受け、クラッシックのバックグラウンドをも持つ、若手プレイヤー、ケント・ジョーダンが、フルートを演奏した。フロントを支える一方の雄、そこにはリンカーン・センター・ジャズ・オーケストラのリード・トランペッター、マーカス・プリンタップを配した。
 
 ステージは、サックスとトランペットの2管編成クィンテットで、[GW」、「245」といった、初期のオリジナル・ブルースが演奏される。特異なテーマながらリスナーへのの配慮か、ソロはまだ過激化していない。ボトムは、ロバート・ハースト(b)、ロドニー・グリーン(ds)で、サポートされている。エリック・リードは、タイトルの由来を説明して観客の関心を集め、この2曲に共通するフォームであるブルースが、ジャズにとって重要な題材であるかを解説し、14小節の変型ブルースである「レス」を演奏し、ドルフィーが伝統の中から、新しいものを模索したことを指摘する。リードのレクチャーは、90年代に活動をともにしたウィントン・マーサリス(tp)の影響か、平易な言葉で巧みにリスナーを掴み、スピーチを演奏で実証する、というスタイルである。
 「ソリーン」では、フロントがジェイムス・カーター(b-cl)になる。バス・クラリネットという一般的になじみの薄い楽器で、カデンツアで重低音から高音部まで、フリーキーなフレーズで上下降を繰り返し、その魅力をアピールする。ゴスペル・フィーリングをもつ曲調も、楽器を引きたてている。「ミス・アン」は、ステージに再登場したオズビーが、過激なソロをとる。ドルフィー同様の、パーカー直系のビ・バップのリズム・アプローチに、確信してアウトするフレーズが、今も斬新だ。エリック・リードは、細分化したリズムを基調とした演奏で、フロント陣とのコントラストを創り出す。ハード・バップからの脱却を、演奏で解説しながら、ファースト・セットが終わった。
 セカンド・セットは、傑作「アウト・トゥ・ランチ」の再現からはじまった。「サムシング・スウィート、サムシング・テンダー」では、ピアノが抜けて、デイヴ・ホランド(b)のグループで活躍するスティーヴ・ネルソン(vib)が、透徹な音色で、緊張感を加味した。2管編成に戻った「ザ・マドリッグ・スピークス、ザ・パンサー・ウォークス」に続き、ブルース「サウス・ストリート・エグジット」では、ケント・ジョーダン(fl)が加わり、リリシズムとアヴァンギャルドの美しい混在を、表現する。大団円は、「アウト・トゥ・ランチ」から「ガゼロニ」。ホーン全員、ネルソンがフロントに並び、ドルフィーが愛奏した3つの楽器のプレイヤーが、オマージュを捧げた。エリック・リードはステージに残り、Q & Aとなる。シンプルな質問から、核心をつく質問まで、ディスカッションは盛り上がった。リードの軽妙な語り口とともに、ドルフィーのラディカルでユーモアな楽曲が、エンタテインメント性をも付加した。次回の、ビリー・ストレイホーン特集も期待したい。
 
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