2005年 2月号 Jazz Life誌 New York Report
New
York Jazz Witness
NY ジャズ・シーンの”ビッグ・マザー”
コビ・ナリタ(Cobi Narita)女史のジャズ・ライフ
ニューヨーク・ジャズ・シーンを構成するのはミュージシャンや、ジャズ・クラブだけではない。多くのミュージシャンやその家族をサポートした教会関係者や、ジャズ・コミュニティを支えるヴォランティアの人々も、多大な貢献をしている。1969年からの活発なヴォランティア活動やコンサート・プロデュースで、コミュニティの尊敬を集めている、日系アメリカ人のコビ・ナリタさんのジャズ・ライフを紹介しよう。
今年の3月で、79歳になるノブコ・コビ・ナリタさんはカリフォルニア出身、1983年から88年まで、ビッグ・ネーム・ミュージシャンが次々と出演した、ヴィレッジの良心的なジャズ・スポット、"ジャズ・センター・オブ・ニューヨーク"のファウンダー、プロデューサー、オーナーとして知られ、90年代も精力的に様々なコンサートをプロデュースして、現在に至っている。
若い頃からジャズが好きで、1969年にカリフォルニアから、たったひとりで7人の子供を連れてニューヨークにやってきたコビさんは、セントラル・パークでストリート・パフォーマンスをしていたミュージシャンの紹介で、セント・ピータース教会を訪れた。そこで、彼女のニューヨーク・ライフを決定づける人と出会った。ジョン・ガルシア・ゲンセル牧師である。ゲンセル牧師は、56年にマンハッタンの教会に赴任してから、ジャズ・ライヴに通ううちに、当時、必ずしも恵まれた環境にいなかったミュージシャン達の、相談に乗るようになり、1965年以来、セント・ピータース教会で、"Jazz
Vespers"というミュージシャンとその家族のための日曜日の夜間ミサを開いた。「ジャズの守護聖人」、「夜の羊の群れを見る羊飼い」と言われ、デューク・エリントン(p)、マイルス・デイヴィス(tp)。セロニアス・モンク(p)ら多くのビッグ・ネームの追悼式を執り行った、ゲンセル牧師は98年に亡くなった。ゲンセル牧師と、ジャズ・コミュニティのヴォランティア活動にすぐに参加したコビさんは、その中核メンバーとして、教会の多くのコンサートをプロデュースし、多くのミュージシャンと交流を深める。
1974年に、コレクティヴ・ブラック・アーティスト(黒人芸術家集団)のエグゼクティヴ・ディレクターに就任してからは、メジャー・アーティストによるビッグバンドのツアー、ワーク・ショップのプロデュース、楽譜のライヴラリーの構築、マンスリー・ニュース・レターの発行と、さらに2年半の間、精力的に活動した。その後、奨学金を得て、ボストンのマサチューセッツ工科大のコミュニティ活動家のコースを1年履修し、1976年、満を持して、現在に続く、自らのノン・プロフィット団体、ユニバーサル・ジャズ・コリションを設立したのであった。
コビさんのキャリアの中には、きら星のごとくジャズ・ジャイアンツがちりばめられている。プロデュースしたコンサートも、ディジー・ガレスビー(tp)のブルックリン・カレッジでの70歳バースデイ・コンサート、アビー・リンカーン(vo)や、ベニー・ゴルソン(ts)、メルバ・リストン(tb,arr)のニューヨーク帰還コンサート、マックス・ローチ(ds)のジャズとクラッシック・プレイヤーが共演するダブル・クァルテットのプレミア公演と、枚挙のいとまがない。1978年から14回に渡ったニューヨーク・ウィメンズ、ジャズ・フェスティヴァルや、1984年から9回催かれたアジアン・アメリカン・ジャズ・フェスティヴァルも、コビさんならではの好企画である。83年から、長年のパートナーで現在のご主人でもある、楽器チェーン店、サム・アッシュのオーナーの、ポール・アッシュ氏と始めた、ジャズ・センター・オブ・ニューヨークでは、5年間に5,000以上のグループのパフォーマンスを聴かせてくれた。
すでに、多くのアメリカのオーガニゼーションや、日本政府からも、長年のコミュニティ&カルチュアル活動の顕彰を受けているコビさんだが、この日は、自らのホーム・グラウンドであるセイント・ピータース教会のロビーで、NYのミュージシャン・コミュニティのノン・プロフィット団体の1つである"Y'All
of New York, Inc."が、長年のジャズ・コミュニティへの貢献と功績を称えて、記念の盾を授与した。コビさんを母のように慕う、ジェイムス・ジャボ・ウェア(arr,cond)が、Me,
We & Them オーケストラを率いて、受賞記念演奏をする。ゲストのマル・ウォルドロン(p)の忘れ形見マラ・ウォルドロンが、ソウルフルなヴォーカルで、ヒルトン・ルイーズがリズミックなピアノで、花を添えた。多くの人々の祝福を浴びて、NYジャズ・シーンのビッグ・マザーは、自分をサポートしてくれたコミュニティの人々に、感謝を捧げたた。コビさんの御健康と、今後のさらなる活躍を期待したい。(10/29/2004
於St. Peter's Church, NYC)
- Cobi with the great singer Abbey Lincoln in photo taken at
Miller
Theatre, Columbia University, by Adonica, at Abbey's concert,
presented
by Cobi.
- Cobi with piano legend Barry Harris in photo taken by Frank
Owens, a
legendary pianist in his own right, June 1998.
- Cobi with trumpet legend Clark Terry, a friend for over 30
years,
in a photo taken 2003 at Saint Peter's Church by Frederic S Sater.
- Cobi with vibes great Milt Jackson, at the Blue Note, at
his
birthday party January 1998, in a photo taken by Paul J. Ash.
Cobi took
many photos of the party and made a souvenir album for her friend
of
over 30 years.
- Cobi with Doris Parker (Mrs Charlie Parker) and Nellie Monk
(Mrs.
Thelonious Monk), in a photo taken by jazz photographer and friend,
Norm Harris, August 1997,
- Cobi with trumpet legend Jon Faddis, January 1998 at the
Blue Note. Photo taken by
Paul J. Ash.
- Cobi with jazz legend Junior Mance in a photo taken at Saint
Peter's Church by Frederic S. Sater, in March 1999, at one of
Cobi's
annual birthday parties.
- Cobi with the legendary Lionel Hampton and trombone great
Al Grey
in a photo taken May 1995. Both supported her work and showed
up at
many of her events.
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