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1998年  12月号 Jazz Life誌 New York Report

New York Jazz Witness

マイルスの偉大なる業績を綴った
マイルス・デイヴィス写真展

秋になると活気づいていてくるのは、ジャズ・シーンだけではない。夏の間はヴァケーションでクローズしていたギャラリーが、新しいラインナップを揃えている、アート・シーンも目が離せなくなる。今回は、昨年セロニアス・モンク(p)を特集した写真展をひらいた「Jazz Gallery」の企画による「Image of Miles Davis」を紹介しよう。

 マイルス・デイヴィスのポートレートには、81年の復帰から91年の死までの10年間をドキュメントした内山繁氏や、81年の東京公演のポスターがマイルス自身のお気に入りとなり、ライヴ盤「We Want Miles」のジャケットに採用された米田泰久氏ら、日本人フォトグラファーの作品があるが、フォトグラファーのリー・ターナーがキューレターを務め、N2K Music、Blue Note Records、Atlanticの後援によるこの「Image of Miles Davis」には、欧米8人のフォトグラファーによる、1948年のチャーリー・パーカー(as)との共演時代から91年までの写真が、一堂に集められた。
 ウィリアム・ゴットリーブの「Charlie Parker & Miles Davis 1948」という、ジャズ・ファンなら必ず一度は目にしたことがある有名な写真から、「クールの誕生」レコーディング・セッションのスタジオ・ドキュメント、ハーマン・レオナードによる50年代のギル・エヴァンス・オーケストラのスタジオ・セッション、死の直前の91年モントルー・ジャズ・フェスティヴァルでの、クインシー・ジョーンズによるギル・オケ再現コンサートまでを記録した写真や、ジェフ・セドリックによる「Live Around the World」のインナーに使われている晩年のポートレイト、ヤン・ベルソン撮影の、60年代ウェイン・ショーターを擁したグループのヨーロッパ・ツアーのコンサート・ショットなど、かなりのレア・ショットをも網羅している。
 それぞれの時代のマイルス・サウンドを支えたミュージシャン達 ー ギル・エヴァンス(p,arr)、ジェリー・マリガン(bs)、ソニー・ロリンズ(ts)、アート・ブレイキー(ds)、ジョン・コルトレーン(ts)、ビル・エヴァンス(p)、キャノンボール・アダレイ(as)、トニー・ウィリアムス(ds) ー の写真も展示され、マイルスの多彩な共演歴を示している。そして、時代を象徴する代表的な作品には、ナット・ヘントフ、ラルフ・グリーン、ビル・ミルコフスキーらの評論家や、ウェイン・ショーター、ギル・エヴァンス、ギル・ゴールドスタインらのコメントが添えられている。モノクロ・プリントに囲まれたギャラリーの中には、低い音量でCDがエンドレスでかかり、マイルスの強烈なオーラに支配された空間を創り出していた。

 オン・ステージでも、リラックスした瞬間を捉えたオフ・ステージでも、マイルスの表情を特徴づけているのは、若き日から変わらない鋭い視線である。見るものを射抜くようなその視線は、それぞれのイメージにマイルスの音楽と同様な、強烈なテンションを付加している。
 サウンドを常に変遷させた巨大なマイルスの自意識は、そのファッションによってヴィジュアルに表現されている。トラッドなヨーロピアン・スーツでグループ全員が身を包んだ50、60年代。69年のモンタレー・ジャズ・フェスティヴァルのステージ・ショットでは、チック・コリア(p)、ジャック・ディジョネット(ds)、デイヴ・ホランド(b)らのサイドメンはラフなヒッピースタイル、マイルスはサイケデリックなファッション傾向を見せ始める。。70年代はサウンドが過激化するのに同調して、コスチュームも尖鋭化していく。80年代には、イッセイ・ミヤケや佐藤孝信の。ポップでアヴァンギャルドなコスチュームでステージに登場している。
 しかし、リズム、ビート、ハーモニー、そしてエレクトリック・インストルメントと、校正するサウンドが変化しても、マイルス自身のトランペット・サウンドは不変であったように、マイルス本人の存在感はコスチュームが替わっても、揺るぎなく変わらないことがヴィジュアル・イメージの中からもうかがい知ることが出来る。
 この写真展に出品されているプリントは、すべてサイズ別で$300.00〜$1,850.00で販売されている。オープニング・レセプションでは、このギャラリーの主催者で、ミュージシャンのマネージメントも手掛けているデイル・フィッツジェラルド氏のプロデュースによってジミー・コブ(ds)トリオのライヴが行われた。そしてクロージング・ウィークには、ロイ・ハーブローヴ(tp)によるトリビュート・ライヴが予定されている。

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